
こんにちは。不動産営業について発信している律です。
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不動産営業マンをやっている限り一生ついて回る呪い、それは契約の数ですよね。
私が勤めていた某大手ハウスメーカーでは、毎月個人の契約ノルマがあり、皆その数字に到達すべく血眼になって反響リストやお客様アンケートとにらめっこしていました。
私が特に憂鬱だったのは月をまたぐとそれまでの契約数が0にリセットされてしまうこと。なんとか月の契約数を達成しても、一息つけるのはその月のみ。またすぐに翌月のノルマが迫ってきます。
この記事を読んでいる皆さんも、そんな過酷な営業競争を日々生き抜いているかと思います。
ところで皆さんの周りにこのような人はいませんか。
社会人になり学生時代と異なることは、頑張った者が評価されるわけではないということです。
学生時代はテストの点数といった全員共通の分かりやすい数字化された基準があり、勉強という手段でアプローチし、本番のテストで実力を発揮する。このような分かりやすい手順がありました。
しかし社会に出るとこれらの前提は全く違うものに変わります。全員共通のゴールなんてないし、絶対に成功する方法もありません。ましてや営業は人と人が接しているのですから常に状況は動き続けます。
そこで今回注目したいのが「運」についてです。
上記のような人たちは、もしかするとこの"運"を上手く活用しているのかもしれません。
「営業成績はその人の実力がすべてだろう」「運なんて全員に平等に訪れるじゃないか」
この記事を読めば、あなたはこのようなことは言えなくなるでしょう。
そして明日からあなたは運を味方にすることができるようになります。
それでは今日も学んでいきましょう。
錯覚資産について

あなたは「錯覚資産」という言葉をきいたことがありますか。
これは、ふろむだ氏の著書『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』で提唱された概念です。
上記の書籍はAmazonランキング1位を取り、ふろむだ氏が創業した企業は、上場するなど名実ともに功績を残されている方です。
ではそんな方が提唱する錯覚資産とは何なのか。それは
"他者が自身に対して持つ「都合の良い錯覚」"です。
少し抽象的過ぎましたね。具体的な例を挙げましょう。
あなたの店舗にお客様が来店されました。接客前アンケートの職種欄には「経営者」や「代表取締役」にチェックが入っています。あなたはまだ会って数分しか経っていないそのお客様に対して、敬意を払うでしょう。
もしかすると普段の接客より緊張するかもしれません。その方が多少、横柄な態度や高圧的な口調であっても、あたかも自分が格下かのように振る舞ってしまうかもしれません。
その人の会社の売り上げなんて知らないのに、実際に成功しているかなんて知らないのに、もしかしたら嘘をついているだけなのかもしれないのに…。
この場面であなたがその人に抱いているのは、その人にとって「都合の良い錯覚(勘違い)」です。
人は肩書きのある人と対峙すると無意識に「立派な人」「すごい人」「才能がある人」と思い込んでしまいます。他にもスポーツ選手や、フォロワー〇万人のインフルエンサーと対面しても同様の錯覚を起こしてしまうでしょう。
「この人は小さいころから努力を重ねてきた人だから立派な人なんだろう」「この人は色んな高級料理店に行っているから稼いでいるんだろう」
その人と会ったことも、話したこともないのに自分の思い込みで勝手にその人のイメージ像を作り上げてしまい、性格や暮らしぶりまで想像してしまう。
これは他者がその人の発言、行動、態度に対して都合よく解釈を歪めてしまうことにより起こります。
つまり人の評価には印象や主観が大きく関わっているということです。
この人を「勘違いさせる力」のことを錯覚資産といいます。
錯覚資産のもたらす効果

ではこの錯覚資産を築くことでどのような影響が出てくるのでしょうか。
ここまでの内容を読んだ上で、「ただの錯覚なんか、実際の実力には直結しないじゃないか」と思う人も多いでしょう。
しかしある程度、社会人経験を積んだ人や営業実績のある人はこの「勘違いさせる力」の重要性を理解しているんです。
これは冒頭に述べた社会人は頑張った者が評価されるわけではないという部分につながります。
例えば、あなたの部署にA君とB君の2人の新入社員が入ってきました。
A君は普段から先輩と積極的にコミュニケーションを取り、他部署の同期とも飲み会で情報交換をし、周囲の人からも話しかけやすい印象を持たれています。
一方、B君は内気で先輩や同期との交流も少なく、正直何を考えているか読みづらいイメージです。
ある週末、A君とB君以外のメンバーは全員接客に出ている中、飛び込みで新規のお客様が来店されました。
A君とB君のどちらかに接客に出てもらわないといけません。そんな時あなたはどちらに接客対応をお願いしますか。
二人ともまだ入って数か月の若手です。実力差なんてつきようも無く、これからどちらが成長するかなど分かりようもありません。しかしどちらかに出てもらうしかない状況であればほとんどの人がA君に依頼しますよね。
もちろん新入社員にいきなり契約を取ってきてくれる、なんて期待はしていません。
ひとまずその日はお客様に迷惑をかけず、気持ちよく帰っていただければ再来の時にあなたや上司が横についてサポートできます。
そのため、ピンチヒッターとして打席に立ってもらう人にはある程度、接客の結果が読める人や大失敗はしないであろうという安心感のもてる人に頼みたいはずです。
二人の間にはほとんど差がないにもかかわらず、決定者の印象だけで結果がほぼ決まっているんです。
ビジネスではこのような、実力関係なくその人の持つ魅力だけで降ってくるチャンスは珍しくありません。
A君は日ごろから周囲の人と良好な関係性を作り、またその印象が根付いていたので「この子ならお客様とも良好な関係を築けるだろう」「話しやすいしお客様も相談しやすいだろうな」「この子ならお客様を不快にさせることはないだろう」という錯覚を起こさせるのです。
ここで重要なポイントは「チャンスを生み出しやすい」ということではなく、「チャンスの多さが後のキャリアに大きな差を生じさせる」ということです。
厳しい話ですが、一度「こいつには任せられない」と思われてしまうと"良い案件"は振られないです。
対して"良い案件"を振られると"良い経験"を積めます。たくさんの"良い経験"を重ねることで人は成長し、やがては評価や出世につながります。
さらにこの話の怖いところは、年次を重ねる毎に新たなチャンスが少なくなっていくことです。
若手のうちはある程度失敗しても、将来性に期待をしてくれます。しかし若手は定期的に入ってきます。いずれは自分も若手ではなくなり、より将来性を持った新人が入ってきます。
入社時は横並びだった実力差が加速度的に開いていく理由はこれです。
さて、そろそろ錯覚資産の重要性が分かってきたのではないでしょうか。
錯覚資産の作りかた

それでは本記事のメインである錯覚資産の作り方について、説明していきます。
結論から言うと錯覚資産は、多くの人の思考に自身が浮かび上がることで高まっていきます。
また抽象度の高い内容になってしまいましたね。詳しく説明していきます。
アメリカである認知心理学の実験が行われました。
その実験で被験者は次の質問を投げかけられました。
スティーブという人がいます。スティーブは他人に関心がなく、現実世界にあまり興味がなく静かで優しく、秩序や整理整頓を好み、細かいことにこだわる性格です。
さてスティーブの職業は図書館の司書である確率が高いか、それとも農家である確率が高いか。
被験者の大半はスティーブの性格から図書館の司書っぽいなと判断し、反対にスティーブは農家っぽくないなとも考えました。
その結果、多くの被験者がスティーブは図書館の司書である確率が高いと回答しました。
しかしアメリカにおいて、図書館の司書より農家の方が圧倒的に多くいます。
司書は農業従事者の20分の1ほどの人数しかいません。つまりスティーブは農家である確率の方がはるかに高いわけです。それにもかかわらず多くの被験者は司書であると答えたのです。
これは人間の直観がいかに判断を間違えやすいかを示しています。
この原因は2つあります。
1.人間の直観は思い浮かびやすい情報だけを使って判断する
2.人間の直観は正しい判断に必要な情報が欠けていても、情報が欠けているという感覚を持たない
論理的に回答を導こうとする人ならば、スティーブの性格よりも司書の全体数と農家の全体数を考えるはずです。しかし普通の人はそこまで考えません。
そこまで考えず、確率を無視して判断することを直観といいます。
これを「都合の良い錯覚(勘違い)」に応用するのです。
やり方は簡単です。
もしあなたが新入社員で、接客にまだ出たことがないのであれば、日頃から「早く接客に出てみたい」と周りにアピールするのです。先ほどのA君とB君ほどの印象差がなくても、普段からそのような要望を口にしていると、上記のような状況下で上司や先輩は真っ先にあなたのことが頭に浮かぶでしょう。
同様に「チームリーダーになりたい」や「新しいプロジェクトに参加したい」ということも常日頃から発信することで、その時はポストが埋まっていてもいずれあなたに回ってくる確率が格段に高くなります。
またその際、重要なことは自分の何を相手が思い浮かぶかということです。
もしあなたが直接的な表現が苦手なのであれば、遠回しに望むことをやりたいと伝えるのです。
例えば、リーダーになりたいと発信しにくいのであれば「もっと周囲を引っ張る力をつけたい」や「もし自分がリーダーだったら、〇〇の面で成果を出せます」と伝えるのも手段です。
無理に直接的な発言をしなくても「この発信をすることで、自分はこう見られるだろう」と自身を客観視することを意識すれば、自然と言葉は選ばれます。
このように自分の印象を可能な限り広範囲の人に植え付けておくことで、予期せぬ場所から意外なチャンスが降ってきます。そしてこのチャンスが人生を大きく変えるのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
人は多少の得意不得意はあったとしても、そもそも人間の実力に大差はありません。
それよりも重要なことは、良い経験をすること、良い環境にいること、良いチャンスに触れることです。
つまり誰もが売れる営業マンになる可能性を持っているのです。しかしこの錯覚資産を知らないだけで今後、芽が出ないことも十分にありえます。
今日あなたは一歩、周りより成功に近づきました。

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参考文献
ふろむだ (2018)「人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている」ダイヤモンド社