
こんにちは。不動産営業について発信している律です。
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本ブログは読者を「売れる不動産営業マンに進化させる」という目的のもと運営しております。
今回は不動産営業マンが理解しておくべき顧客心理、「購買者の仮面」ついて解説していきます!
"購買者の仮面"とは、著者:高橋浩一氏のベストセラー『営業の科学』で提唱された、顧客の本音を隠す5種類の建前のことです。
本書籍は営業1万人+顧客1万人(計2万人)を調査し、営業における「急所」を科学的に解き明かした本です。
営業に関する書籍を多数読んできた私の中でも、特に良書であると感じたため、本ブログで紹介させていただきます。
また、本書籍は営業という大きなテーマで書かれていますが、本記事では不動産営業に置き換えて「購買者の仮面」を解説していきます。
それでは今日も一緒に学んでいきましょう。
なぜ売れる営業と売れない営業が生まれてしまうのか

冒頭でも紹介したように、本書は計2万人という膨大なデータをもとに営業を解き明かした本です。
よくある、気合いでゴリ押しするような内容は書かれておらず、あくまでも分析から導き出された結果を解説しています。
そのため再現性が高く、本ブログのメイン読者である若手でもかなり実践しやすいです。
まずはメインテーマに行く前に、本項の「売れる営業マン」と「売れない営業マン」に差が開いてしまう理由について解説していきます。
あなたは売れない営業マンと聞くと、どんなイメージをしますか?
追い込みが足りない・意識が低い・他責思考…等いろいろ挙がるかと思いますが、実は売れない営業は「頑張っていない」というわけではないのです。
むしろ、売れている営業と同等レベルで頑張っているというデータが出たようです。そこから導かれる一つの答えが
売れない営業は頑張り方がわからないということです。
売れない営業マンはお客様の言うことに振り回されやすく、本音と建前を見極められていません。
分かりやすい例だと、「一度、検討してまた連絡します。」と言われた後に、律儀に連絡が来ることを待ってしまう人です。
上記は、本書で言うところの"検討しますの仮面"ですが、購買者は5つの仮面をシチュエーションや相手によって使い分け、巧みに意思決定を避けようとします。
しかし、表があれば裏があるように購買者の仮面(建前)の裏には本音が隠れているのです。
その本音を突くことができれば、あなたは今より数段レベルアップできるでしょう。
営業マンを欺く「購買者の仮面」とは

本ブログでも、何度か触れていますがお客様は強引なセールスや損することを避ける心理が非常に強いです。
あなたが多数の提案を持つのと同時に、お客様も多数の断り文句を用意しています。
しかしお客様が断る理由は、おおきく5つに分けることができます。
本記事では上記5種類のうち、3種類の仮面が不動産営業においても応用できると考えました。では、それぞれ見ていきましょう。
はぐらかしの仮面
これはお客様がリスクやデメリットを避けたいという心理から現れます。自身の身を守るために一度、営業マンからの提案をかわしたいと思うことです。
具体的には
「ご予算は〇〇万くらいですか?」
→「まあ、それくらいですかね。」
「住まいに対する希望はありますか?」
→「特に決まってないですが、色々ですね。」
上記のような質問は営業からすれば、当然聞いておかないといけないことですが、お客様の立場からすると売り込みの姿勢を感じ取ってしまいます。
質問に回答することで、決断を迫られる不利な状況に置かれるかもしれないや、意に沿わないものを売りつけられるかもしれないと感じてしまうのです。
このような防衛反応に効果的なアプローチがあります。
それはその質問に答えることで、お客様にメリットがあることを伝えてあげることです。
「ご予算は〇〇万くらいですか?」
→「予算に対して、コストパフォーマンスの高い提案をしたいので教えてください。」
「住まいに対する希望はありますか?」
→「全ての希望を叶える物件は存在しませんが、可能な限り理想に近い物件を提案したいので教えてください。」
この、はぐらかしの仮面を外せないままでいるとずれた提案をし続けることとなってしまいます。
的確な提案をすることは、お客様にもメリットです。上記のような経験がある方は、質問の前に一言添えてあげるようにしましょう。
とにかく安くの仮面
「もっと安くならないのか」や「値引きしてほしい」と言われたことはありませんか?
ほとんど商談が決まっており、お客様が最後のダメ押しで言ってきている場合は例外ですが、金額だけを見てこのようなことを言われる場合は、お客様の"とにかく安くの仮面"に惑わされがちです。
これは判断基準があいまいなお客様にあることです。
本来、住まいという人生の中でも、とくに大きな買い物で「安ければ良い」ということは、考えにくいです。
安価でも物が悪ければ、お客様はお金を払いません。
つまりここでの本音は判断基準が分からないです。
嚙み砕くと、どうやって物件選びをするかの軸がないので、金額という分かりやすく、比較しやすいポイントを指摘しているだけなのです。
反対に金額以外の付加価値を提供することで、多少は高価でも、お客様の中で価格の正当化が行われます。
ここまで読むと「高い」に対して値引きをするのが間違った頑張りだということが分かると思います。
ではこの場合、あなたはどうアプローチすべきでしょうか。
それは要点の整理です。ポイントは2つ。
具体化と優先順位をつけることです。
具体的には
「駅から5分以内の近い物件がいいです。」
→「なぜですか。」
→「通勤に便利だからです。」
「駐車場はマストで必要です。」
→「なぜですか。」
→「週末は親の介護に実家へ帰ることが多いからです。」
この場合、後者の要望の方が優先度としては高いことが分かります。
そのためお客様が乗っている車種が入る駐車場付き物件が、付加価値の高い物件となります。もしくは近くにカーシェアがあるような物件ですね。
このように、安直に金額の要望を言っているお客様に対しては物件選定のための、判断基準を明確にしてあげることが有効です。
検討しますの仮面
「一度持ち帰って検討してから、連絡させてください。」不動産営業をしていて、言われたことがない人はいないでしょう。
これを真に受けて、再びお客様から連絡が来ることを待っているようでは、いつまでたっても三流から脱出することはできません。
この時のお客様の本音は「その場で決断をするのが面倒くさい」です。
厳密にいうと、"今"決断するにあたり、考慮すべきメリットやリスクを整理するのが面倒くさいです。
また、イエスかノーを回答することに負担を感じている状態でもあります。
イエスと言うと、後戻りできなくなってしまう。
ノーと言うと、目の前の営業に悪い印象を持たせてしまう。
そこで現実逃避をしたく、「検討します」と言ってしまうのです。
そのため、あなたが本来すべきことは決断までの道順を整理してあげることです。
物件の説明や紹介が終わり、いきなり決断を促してしまうとお客様の中でも整理がついておらず「検討します」を引き出してしまう確率が高いです。
そのため、下記のようにお客様の思考を整理してげましょう。
上記を一連の流れとして実施できると、意欲の高いお客様は成約まで自然と案内できます。また意欲の低いお客様にも課題が明確になった上で別の切り口から提案をすることができます。
このように「検討します」を未然に防ぐ方法は、お客様の考えを整理し"成約"もしくは"他の解決提案"のどちらかに導いてあげることです。
まとめ
お客様が持っている「本音」と「建前」について、お分かりになったでしょうか?
若手のうちはこの建前が分かりにくく、苦戦することが多いかと思いますが裏を返すとそこには本音があるのです。
今回の学びを機に、お客様の言葉の意図について考察する思考回路を鍛えていってください。

本ブログは、不動産営業マンを成功させるためのバイブルを目指して運営しています。
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参考文献
高橋浩一 (2024)「営業の科学」かんき出版