営業ノウハウ

『完全ガイド』売れる営業は使っているSPIN話法解説

律

こんにちは。不動産営業について発信している律です。
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本ブログは読者を「売れる不動産営業マンに進化させる」という目的のもと運営しております。
今回は不動産営業マンに絶対身につけてほしい、SPIN話法ついて解説していきます!

あなたはSPIN話法を知っていますか?

本ブログの読者の方であれば名前くらいは聞いたことがある方も多いかと思います。

しかし"知っている"ことと、"実践できる"ことは全く別です。
今回の記事は、SPIN話法を知らない方には順を追って解説し、すでに知っている方にも、具体的なトークに落とし込んだ内容で作成していますので、ぜひ最後まで読んでみてください!

SPIN話法とは

そもそもSPIN話法とは、イギリスの行動心理学者ニール・ラッカム氏が提唱した営業手法の一つです。一言でいうと、お客様の潜在ニーズを掘り起こす会話の流れを体系化したものです。

「S」・・・Situation:状況質問

「P」・・・Problem:問題質問

「I」・・・Implication:示唆質問

「N」・・・Need-payoff:解決質問

上記の4つの質問を上から順に行っていく手法です。

SPIN話法は以下のような営業マンにおすすめです。

こんな方におすすめ

ヒアリングで何を聞いていいか分からない

お客様を乗り気にさせることができない

このような営業マンにSPIN話法をおすすめする理由が3つあります。

各フェーズで質問の意図が決まっている

これは特に1年目~2年目の営業マンに効果を実感してもらいやすいです。

接客をし始めて間もない頃は、提案や商品説明以前のヒアリングでいっぱいいっぱいになってしまいがちです。
事務所へ戻った際も、上司から「~は聞いていないのか」や「この顧客は申し込みをしそうか」といった質問攻めにあうことが多いはずです。上手くヒアリングができていなければ叱責が飛んでくることもあるでしょう。

その防衛反応から、上司の質問を、そのままお客様にヒアリングしがちです。
上司の質問は意図があって聞いているのですが、お客様対応中にその意図の解説まで聞けることは稀でしょう。

そして訳も分からず、質問されたことを単体でお客様にヒアリングし誰のための商談か分からなくなってしまいます。
結果、いい提案にはつながらず、ヒアリング不足からニーズも不明なまま、ボロボロな状態で商談が終わります。

本当に駆け出しである、接客件数10件未満まではそのような失敗をすることも経験の一つでしょう。
しかし、この失敗は可能な限り早い段階で卒業すべきです。

なぜなら、上記のような失敗は振り返りができないからです。

ヒアリングができてないということは、あなた自身がお客様の全貌を掴めておらず、対峙していない上司や先輩は的確なフィードバックができないのです。

仮にフィードバックをもらえても、それは仮定の域を出ず、あなたの具体的な改善ポイントではないかもしれません。
そんな商談をいくつ積み重ねても、成長の機会損失でしかありません。

一方で、ヒアリング全体を通して掴むべき要点と、その意図を事前にあなたが理解しているとどうでしょう。

その商談は本当の意味で、あなたの自力に直結していくと考えられますね。
そこでの失敗は、とても有意義なものになるでしょう。

お客様自身で潜在ニーズに気づかせることができる

冒頭に述べたようにSPIN話法はお客様のニーズを浮き彫りにする営業手法です。
数ある営業手法の中でもSPIN話法がもつ特徴は、お客様が自分自身でニーズに気づくということです。

お客様は押し売りされるのを嫌います。そのため営業マンはお客様の眼前に対立するのではなく、横に並び並走しなければなりません。
SPIN話法はポイントに気をつけておけば、お客様と対立することはまずありません

完遂した時点でまだヒアリング段階

通常、不動産営業にかかわらず商談は「ヒアリング」→「商品説明」→「クロージング」という流れで進めていきます。

SPIN話法は4つの質問の中で、お客様が自身のニーズに気づき(厳密にいうと営業マンが気づかせるように誘導する)、お客様から「申込したい」と言わせる手法です。

そこまでお客様の気持ちを盛り上げた段階で、商品説明とクロージングを行う、その結果よく決まるという構図です。

以上が、私がSPIN話法をおすすめする理由です。

では具体的にSPIN話法のやり方について解説していきます。

SPIN話法実践

SPIN話法は下記の4つの質問を元にお客様の潜在ニーズを顕在化させます。

状況質問

まずはお客様の"今の生活"と"理想の生活"の間にあるギャップを整理します。

ポイントは3つです。

質問の数を絞る

若手や売れない営業マンは、この状況質問で商談の時間の大半を使ってしまいます。
お客様との関係値が浅い段階で、あれもこれも質問してしまうと尋問のようになってしまい、お客様からすれば正直うっとおしいだけです。

幸いなことに、不動産営業は事前にアンケートを記入してもらうことが多いです。
アンケートを見れば分かることに関しては、聞いてしまわないよう注意しましょう。

ここで重要なことが、アンケート上だけでどんなお客様かを想像することです。
単身 or ディンクス or ファミリー、職場や実家からの距離は何分くらいか等、他にもまだまだ見るべきポイントはありますが、要はお客目線になることです。

そこから、「なぜご来場してくれたのか」や「似た条件で競合しそうな物件」を想定します。このような徹底的な事前準備が重要となります。

理想を数字化してもらう

ギャップは気持ち等の、目に見えないものだと差が分かりにくいです。
そこで下記のように、具体的な数字を使って答えてもらいましょう。

質問例

・「月々の支払いは何万円くらいにしたいですか?
⇒提案する物件の金額が定まる。理想と現実に気づいてもらう。

・「何歳までにマイホームを持ちたいですか?」
⇒物価高や金利上昇のリスクに気づいてもらう。

少し応用的な内容になってしまいましたが、数字で答えてもらえると提案のベースにしやすいです。
またお客様の思考が、市況とどれだけ乖離しているかも測れます。

市況をよく理解している方は、話が早く進みますし、理想が先行してしまっている方は、市況を説明するところからしてあげる必要があります。

上記2つのポイントに対して要望がない

よくあるのが、自分たちがどんな物件を求めているかも明確になっていない状態です。これが一番、営業泣かせの状態でしょう。
しかし、この曖昧な状況に有効的なアプローチがあります。

それは"他社事例"と"データ"です。

先ほども述べましたが、お客様は心理的に売り込まれることを避けます
理由は損をしたくないからです。
しかし損するかどうかは知識がないと、判断できません。

そこで、"不動産業界の市況"や"他社との比較"をお客様にレクチャーするのです。
また私が個人的に有効だと感じているのは、他のお客様や契約者様の言葉や物件選びの考え方を伝えてあげることです。

この「他の人は~…」というトークは、耳を傾けてくれる確率が高いです。
正直なところ、はじめは虚像でも構いません。しかし実際の姿形が背景にないと、かなり薄っぺらくなります。

もし現状、契約数や実績がなく、虚像を使用するのであればしっかりと作りこんでください。ここの虚像の作り方については、今後のコンテンツで触れていければと考えています。

少し脱線しましたが、私が他のお客様を引き合いに出す際は「先月ご契約してもらった方も、〇〇様と同様の不安を持っていて…
別の階のこの間取りを選ばれた方は…」といった具合です。

ポイントは自分たちと同じような悩みや考えを持っている人がいるのだと思わせること、そしてそのような方が実際に選んでいるということです。

人は他にも同じような人がいると安心します。その心理を"市況"という、規模の大きな集団と、"契約者"という小さな集団の両面から支えてあげるのです。

問題質問

問題質問では状況質問で整理した、"今の生活"と"理想の生活"のギャップをより際立たせる工程です。

まず重要なことは、お客様を不快にさせないということです。

この工程では上記のギャップ、いわば今は叶っていないこと実行できてないことといった、お客様にとっては"痛いところ"に踏み込んでいく段階です。

間違っても、お客様のことを真っ向から否定するような発言はしないように注意してください。ここを間違えると商談どころではなくなります。そのために状況質問でしっかりと関係性を築きましょう。

ではその大前提をふまえた上で、実施することはギャップを「問題」として認識してもらうことです。

問題と認識するには下記のフェーズがあります。
「無知 」→ 「無関心」 → 「関心」 → 「問題」

「無知」は問題を認識すらしていない状態。
「無関心」は認識しているものの、問題とは思っていない状態。
「関心」は問題認識はあるものの、優先順位が低い状態。
「問題」は緊急度が高く、すぐに解決しなければならない状態。

状況質問でお客様は現状を「無関心」か「関心」へ選別しています。
これを「問題」まで引き上げる手法として、一度褒める(つき離す)ことをします。

今の家でも職場からは十分近いし、便利じゃないですか?
固定資産税を考慮すると、今の家の方がおとくですよ?

これは人の心理的リアクタンスを狙った投げかけです。
心理的リアクタンスは1966年アメリカの心理学者ジャック・ブレームが提唱した理論です。

心理的リアクタンスとは、自由な状態を妨げる人や物に対して反発したり、不快に感じたりする状態です。これを意図的に起こさせているのです。

今の家でも職場からは十分近いし、便利じゃないですか?
→「でも〇〇線は朝の渋滞がすごくて、不便なんです…

固定資産税を考慮すると、今の家の方がおとくですよ?
→「でも今の年齢を考えると住宅ローンを組むのは最後のチャンスかなって…

ここにお客様の気づいていない潜在ニーズがあり、営業マンの提案する隙が生まれます。
しかしここで焦って提案に移るのではく、あくまでもお客様の潜在ニーズを緊急度の高い「問題」として認識してもいましょう。

もし、上記の褒めが効かず、ギャップが見えないようでしたら「強いて言うなら…」や「一つだけ挙げると…」といった形で課題を出してもらいましょう。
ただ、これは何度もやると誘導感が出てしまい、自然ではないのでどうしてもの最終手段としてください。

示唆質問

示唆質問では、浮き彫りになった潜在ニーズを「顕在化」させていきます。

アプローチの仕方としては、さきほどの問題質問で"問題化"した潜在ニーズを放置しておくと状況が悪化することを伝えます。

つまり「このままではヤバい」や「煽り」を演出するのです。

そしてこの「問題の重要さ」が「支払うお金の価値」を上回ると「購買」という具体的な行動に移るのです。
お客様の心境としては「これを解決できるなら〇円払ってもいい」です。

ポイントは"支払うお金の価値"です。
単純に「この物件は〇円の価値があります」だけの訴求では弱いです。
以下の2つの切り口から訴求していきましょう。

時間

ここは"市況の傾向"から訴求していきます。

具体的には物価高や金利上昇についてです。
たとえば、建設業に勤めているお客様であれば「建築資材がかなり上がっているかと思いますが、今後下がりそうですか」と
いう質問に対して否と回答があれば、不動産にも影響がある旨を説明しましょう。

また金利上昇は、現在はかなりの低金利、昔はこれくらい高かった、今までの低水準な金利が上がろうとしている等を説明できると
不動産以外に金融面でも頼れそうと感じてくれます。

このように今、問題を放置することで時間の経過を通じ、さらに問題が悪化するということを訴求していきましょう。

労力

ここでは、お客様が物件を探しにかける労力について訴求していきます。

たとえば、毎週末の貴重な休日を、"物件を探すため"に少なくとも半日を使う。
人生設計で見たときに他にも考えなければならないことは、たくさんあるのにそこにリソースを割かれてしまう。

このように、有限である時間を使ってしまっていることや、その影響から他のことにかける時間を機会損失してしまっていることを
訴求していきましょう。

他にも価値訴求できるポイントはいくつかありますが、価値訴求を題材にした記事で詳しく解説していきます。

また示唆質問について注意することが一つあります。
先ほどのお客様の心境を略式化すると下記のようになります。

支払うお金の価値 < 問題の重要さ = 購買

ここで売れない営業マンは「問題の重要さ」を訴求して大きくするのではなく、「支払うお金の価値」を小さくして
購買に至らせようとします。

つまり、値引きをして買ってもらうことです。
これは一見、合理的でお客様にも喜ばれる行為ですが、長期的に見たときに、あなたの営業力が弱くなる原因になります。

正直、値引きをすれば誰でも売れます
極端に言うと販売員のいないネット通販でも、安ければ売れます。
しかしここに営業マンは不要です。

営業職をしている以上、
あなたが商談に居る意味を意識し続けてください。

値引きをすることで、ご成約いただくことは本ブログの発信趣旨とは異なりますので、本当の意味で売れる営業マンになりたいと野心のある方はご注意ください。

解決質問

最後はお客様の問題を解決に導く質問です。

示唆質問で不安な気持ちになっているお客様に優位な立場で提案ができる状態です。
ここで初めて、問題質問で浮き上がった潜在ニーズにアプローチします。

コツは下記の2つです。

不安を上回る提案

ここまでの3つの質問でお客様の心理状態はマイナスになっています。

そこに「もし〇〇が解消できれば〇〇になりませんか?」とお客様に良い将来をイメージしてもらうのです。

不安な点に対して、良い将来で上回ることでこれまでの質問がない場合と同様の提案だったとしてもお客様には、より魅力的な提案に聞こえます。

あくまでも淡々と

ここまで読んでいただけば分かる通り、SPIN話法はお客様自身が営業マンとの会話の中で潜在ニーズに気づいていく方法です。

そのため、営業マンが積極的に売り込みや提案する場面はありません。

上記の不安を上回る提案で、急にいきいきと提案しだしては違和感が生まれてしまいます。
とくに良い将来を語る際の営業マンは、無意識のうちに気持ち良く話してしまいます。

しかし、私たちはお客様に気持ち良く話してもらうことが目的です。

あくまでも「〇〇でしたら、満足いただけそうですかとお客様を主役に置いた提案をしましょう。

ここまでくれば、お客様の熱量も上がり、商談をスムーズに運んでいくことができるでしょう。
あとは、あなたが扱っている物件の魅力をお客様のニーズに当てていくだけです。

まとめ

このように一心不乱にお客様にヒアリングをせずとも、定型の質問を投げかけることで、お客様から要望を言っていただき、その要望に対して最後のひと押しで成約まで見込めるのがSPIN話法です。

これまでどのように、商談を進めていいか分からなかった方はぜひ一度試してみてください。
またこれまで実施していた型がある方も、SPIN話法を駆使し今までより効率的に商談を進めることができるかもしれません。
この機に取り入れてみてください。

律

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